ピアマリッジ(peermarriage)

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理想の結婚モデルを求めて

善積によって紹介された、従来の形態にとらわれず、平等かつ情緒的関係をもつ非法律婚カップルと非常によく似た結婚スタイルがアメリカで紹介されている。シュウォーツ(Schwartz,P.)のビア・マリッジ(peermarriage)である。ビアとはふつう同僚のことを意味するが、ここでいうビア。マリッジとは、平等な2人がお互いを深く理解しあった親密な結婚関係である。

この概念は、1983年に彼女がブルームステイン(Blumstein,P.)と行った、法律婚、同棲、同性・異性カップルすべてを含む大がかりな調査から生まれてきた。彼女は、同性カップルには平等で親密な関係が多く見られるのに、なぜ、異性カップルでは見られないのか、あるいは平等関係を保っているごくわずかな異性カップルは、いかにして伝統的なジェンダーを乗り越え、平等と公平さをベースとした関係を成り立たせることができるのか、とさらにインタビュー調査を進めた。先にあげた善積が指摘したように、非法律婚カップルが、「非」法律婚であるがゆえに男女の役割分業を乗り越えていたのと同様、「同」性力ツプルであるがゆえに平等主義的家族が築きやすい、という事実は非常に興味深い。

このような民主的結婚(democraticmarriage)は新しい概念ではない。「近代」家族論に初めて明確な定式化を与えたバージェスとロック(Burgess,EW.&Locke,H、J、)は、半世紀も前に、伝統社会から近代社会への家族類型の移行を「制度から友愛へ」ととらえていた。「制度的家族」とは、その統一性が法律、慣習、世論、伝統、権威などの外的な社会的諸圧力によってもたらされる家族類型であり、「友愛家族」は、その統一性が家族成員相互の愛情と合意によってもたらされる家族類型である(石川、1998)。恋愛。友愛に基づく配偶者の自由選択、生殖家族の定位家族からの独立、夫婦の平等、意思決定における家族成員の民主的参加などの特性が友愛家族の特性として設定されている。戦後すでに理論化されたにもかかわらず、「友愛家族」の理念的モデルは実現されず、むしろ「性別役割分業」観念に基づく結婚が現実には存続してきた。しかし、シュウォーツの描くビア・マリッジは、まさにバージェスたちの理念化した平等主義的家族を現代のコンテクストに再生したものととれる。

シュウォーツは、結婚が非常にうまくいっている異性カップルに次の3つの共通の特徴があるという。

(1)家事や育児に関してバランスのいい役割分担をしていること。

(2)重要な決定事項にカップルの両者が同等の影響を与えていると信じていること。

(3)両者が家計について平等の裁量がふるえること。

彼らは、お互いの関係を仕事やその他の関係よりもまず第一に考え(primacy)、とても親密な関係(intimacy)を保っている。そしてお互いの関係に対会するコミットメントが重要であり、お互いが「何人によれども代え難し」という気持ちを共有している。さらに彼らはこの関係を保つために、非常にうまくコミュニケーションをはかり、関係を保つための努力を惜しまない。

シュウォーツは、このような関係を築きうる男性や女性が、どのような家庭で育っているかという社会化の背景も研究している。そして、親や家族がどのように協力しあっているか、コミュニケーションをとりあっているかが、子どものその後の結婚スタイルに影響を与えることに言及している。



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